デジタル時代のリーダーを育む ― タケダが描くDX人材育成のかたち | 武田薬品
デジタル時代のリーダーを育む ― タケダが描くDX人材育成のかたち
index
- グローバルで推進するDXの人材育成と組織改革
- 全従業員の成長を支える、デジタル時代の人材育成とキャリア支援
- リスキリングプログラムで“DXのプロフェッショナル人材”を育てる
- DXを動かすもう一つの力 ―マインドセットの変革に向けた取り組み―
- 全員が「デジタルリーダー」となるタケダへ
製薬業界を取り巻く環境は、医療ニーズの多様化や研究開発の高度化、グローバル規模での競争激化など、かつてないスピードで変化し続けています。こうした中で、患者さんや医療関係者により高い価値を迅速かつ柔軟に提供するには、データとデジタル技術の活用は不可欠です。タケダは、単なる技術導入にとどまらず、従業員一人ひとりがデジタルを自在に活用し、新たな価値を生み出す企業文化の醸成にも取り組んでいます。
グローバルで推進するDXの人材育成と組織変革
タケダではグローバル規模で人材育成と組織変革を進めています。製薬業界において持続的な事業の成長を推進し、社会に価値を提供するためには、最新技術の導入はもちろんのこと、それを実際に使いこなす人材の育成が欠かせません。
タケダは「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために、データとデジタルの力で、イノベーションを起こします」という私たちの約束を掲げています。この約束を体現していくために、多様なバックグラウンドをもつ従業員それぞれの力を引き出すことを重視しています。DX推進においても、従業員一人一人の成長と意識変革にフォーカスし、組織の変革につなげています。
従業員の可能性を引き出す「デジタル・デクステリティ」とは?
DX人材育成を加速させる原動力が「デジタル・デクステリティ」です。これは、デジタル技術を積極的に受け入れ、活用し、個人や組織の成果を最大化するための「能力」と「意欲」の両方を指します。タケダではこれをDX人材育成の中核に位置づけ、2つのアプローチで取り組んでいます。
ひとつは「スキルの強化と再構築」。アップスキリング、リスキリングや専門人材の育成、AI活用の推進を通じて実務に直結する能力を磨きます。もうひとつは「マインドセット」。変化に挑戦し続ける個々の意識付けと組織文化の醸成を図ります。この両輪により、従業員全員を「デジタル時代のリーダー」へと導くことを目指しています。
全従業員の成長を支える、デジタル時代の人材育成とキャリア支援
タケダでは、全従業員が主体的に成長し、AIを活用して価値を創出できる人材となるために、学びとキャリア形成の環境整備を進めています。そのひとつが、AIを活用したキャリア支援プラットフォーム「Career Navigator」です。従業員は自分のプロファイルを登録することで、社内公募ポジションや学習リソース、メンタリング機会などが自動的に提案され、「なりたい自分」の実現に向けた選択肢を広げることができます。搭載されているAIによって、従業員一人ひとりのフィードバックを継続的に学習し、より精度の高い提案を行うことで、キャリアの自律的な探索と成長を支援します。 タケダは、Career Navigatorを通じてすべての従業員が自分らしいキャリアを築き、変化の激しい時代においても可能性を最大限に発揮できる柔軟で多様性を活かす組織の実現に取り組んでいます。
そのほか、自社内で開発した生成AIプラットフォーム「myAibou」、評価プロセスを補助する「Performance Pal」、さらには出張ポリシーの確認や経費処理など従業員を支援するエージェント「Aivy」など、特定の業務に合わせてカスタマイズされた多様なAIエージェントも展開することにより、従業員の業務を効率化し、付加価値の高い業務に専念できる環境を整えています。こうしたAI活用を支える取り組みの一環として、AIを日常業務に自然に取り入れ、業務の質とスピードを高める力を育む「Everyday AI Learningプログラム」も展開しています。これは「デジタル・デクステリティ」の主要スキル領域のひとつであり、開始から5,000人以上が参加しています。
これらの施策は、すべて適切なガバナンス体制のもと安全な環境下で実施されています。個人情報、社内データの取り扱い、AIの活用には細心の注意が払われ、従業員は安心してスキルアップやキャリア形成に臨めるよう配慮されています。
リスキリングプログラムで“DXのプロフェッショナル人材”を育てる
タケダは、DX人材を「データとデジタルを活用して価値を創出し、変革をリードできる人材」と位置づけ、その育成を全社で推進しています。
こうした人材像を実現するため、グローバルで展開しているデジタル・デクステリティプログラムに先んじて、日本では2022年に、体系的なスキルアップの仕組みを整え、アップスキリング教育を実施しました。アップスキリングでは、日本語で約750、英語では4500以上のデジタル関連講座を提供しました。国内事業部門では98%の従業員が複数の講座を修了するなど、高い受講率を達成しました。
また国内事業部門では、選抜型リスキリング施策として「DD&Tアカデミー」を実施しました。国内事業部門の従業員を社内公募で集め、もとの職務を離れて6カ月間のOJTを含む集中研修を実施し、UXデザイナー、ビジネスアナリスト、データアナリストなどの専門職人材を養成しました。
アカデミーの修了者はその後データ・デジタル&テクノロジー(DD&T)部に配属され、デジタルによる変革をリードしています。例えば、カスタマーエクスペリエンスの分野では製品やサービスを市場に届けるプロセス全般をデジタルで最適化する「Go-to-Market(GtM)プロジェクト」において、医療関係者向け情報サイトに対する評価向上や、従業員向けダッシュボードの役立ち度、AIを活用したMRへの推奨活動に対する反応率向上など、具体的な成果も生まれています。深いビジネス知識と経験を併せ持つ新たなDX人材を内製する試みは、タケダのDXを象徴する施策といえます。
DXを動かすもう一つの力 ―マインドセットの変革に向けた国内の取り組み―
タケダでは、従業員のデジタルスキル獲得と並行して、国内事業部門においてマインドセットの変革を進めています。その方法のひとつが「アジャイル」という考え方です。
アジャイルは、IT分野で「柔軟かつ迅速な開発を実現する考え方」として広く知られていますが、ここでは「患者さんや医療関係者を中心に据え、迅速に価値を提供するためのマインドセット」として位置づけています。従来型の階層型的な組織構造や重厚なプロセスは、ビジネスにおける柔軟性を損なう可能性がある一方で、そうした仕組みがもたらすメリットも重要です。タケダではその点を尊重しながら「挑戦を支援し変革を推進する文化」「部門横断のコラボレーション」を重視し、イノベーションを生み出すための考え方と組織的な基盤を構築しています。これにより、従業員のマインドセットの変革が実際の行動につながるように支援しています。
トップダウンとボトムアップの融合が生む組織変革とは?
アジャイルを浸透させる方法も特徴的です。経営層のビジョンと第一線の従業員の知恵を対話型で融合する取組みを行い、トップダウン、ボトムアップの両輪から推進しています。アジャイルを組織に浸透させるうえで重要なのは、まず経営層自身が意識を変え、変革を先導する姿勢を示すことです。そのうえで「命じられたからやる」のではなく、「自分がやりたい」と思える気持ちを従業員から引き出し、主体性を高めることが欠かせません。さらに、従業員一人ひとりが、部門の枠を超えて仲間を巻き込み、変革をともに進めるワンチームの風土を築くことで、組織全体にアジャイルの文化を根付かせています。
その成果はビジネス面に表れており、例えばデジタル部門では、デジタルプロダクトの開発期間が75%短縮、セールス部門では、課題解決のスピードが向上するなど、業務の成果に直結する変化が確認できています。
全員が「デジタル時代のリーダー」となるタケダへ
タケダは、データ・デジタル・テクノロジー・AIをさらに活用し、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献していきます。 その実現に向けて、タケダでは経営層を含むすべての従業員がデジタルスキルの習得とマインドセットの変革に取り組みながら、デジタルを通じて提供価値の質とスピードを高めることを目指しています。こうした新たな企業文化の醸成が進んでいることは、本記事で紹介してきたとおりです。
今後もタケダは持続的な事業成長を後押しするため、「全員がデジタル時代のリーダー」であるという志を共有しながら、さらなるDX人材の育成と組織変革を軸とした取り組みを続けていきます。その積み重ねを通じて、タケダのさらなる成長の実現だけにとどまらず、製薬業界全体の進化にも寄与していくことを目指しています。