デング熱ワクチンの7年間にわたる感染および入院予防効果を示した新たな第3相臨床試験結果について | 武田薬品
デング熱ワクチンの7年間にわたる感染および入院予防効果を示した新たな第3相臨床試験結果について
- QDENGAの長期安全性プロファイルおよび2回接種を支持
- QDENGAは、最も長期間にわたり評価されたデング熱ワクチンであり、過去の感染歴に関わらず、使用が承認されている唯一のワクチン
- タケダは公的予防接種プログラム、民間支払者、公衆衛生連合と協業し、QDENGAの世界的なアクセス拡大に注力し、流行国11カ国で1,860万回接種分を供給
当社は、2025年11月3日(米国時間)、当社のデング熱ワクチンQDENGA ®▼(4価弱毒生デング熱ワクチン)(開発コード:TAK-003、以下「QDENGA」)を7年間にわたって評価した主要な第3相臨床試験であるTIDES(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)試験を完了したことをお知らせします。本試験には追加接種の探索的解析も含まれており、これらのデータから、QDENGAのベネフィット・リスクプロファイルとともに、2回接種によりデング熱に対する持続的な予防効果が得られることが確認されました。このことは、多くの国々での現在の承認内容と一致しており、予防接種スケジュールの簡素化およびアドヒアランスの向上が期待されます。
「デング熱は前例のない規模で急増しており、2024年だけでも100を超える国で1,400万人を超える症例が報告されています。主に気候変動と都市化が適切になされていない影響によるものです。ブラジルは、従来デング熱の影響を最も受けている国の1つであり、デング熱症例数が過去最多を記録し、重症度及び死亡数の上昇の一因となっています。この感染拡大は、QDENGAのような予防法が早急に必要であることを指し示しています」とブラジル保健省所轄のオズワルドクルス財団の上級研究者であるEdson Moreira医師は述べています。「ブラジルの公的予防接種プログラムにQDENGAが導入されたことで、症候性デング熱症例が減り、デング熱に関連する入院が減少しました」。
QDENGAの2回接種(初回接種)後4.5年までの結果によると、ウイルス学的に確認されたデング熱(VCD)に対するワクチン有効性(VE)は、61.2%(95%信頼区間:56.0-65.8)でした1。初回接種の4.5年後に追加接種を行った結果、追加接種2年後のVEはわずかに上昇し、74.3%(95%信頼区間:66.7-80.1)でした2。入院予防効果は初回接種4.5年後で84.1%(95%信頼区間:77.8-88.6)、追加接種後も90.6%(95%信頼区間:78.9-95.8)と一貫した有効性を示しました1,2。4種のデングウイルス血清型全てにおいてVEが、7年間にわたり認められました。追加接種後、新たな安全性上の懸念は認められませんでした。
当社グローバル ワクチン ビジネス ユニットのプレジデントであるDerek Wallaceは、以下のように述べています。「QDENGAは、最も包括的に研究されているデング熱ワクチンです。世界中で60,000人を超える被験者が臨床開発プログラムに参加しており、このたびの長期解析結果は、世界中の多様な集団におけるQDENGAの安全性及び有効性プロファイルの持続性を示しています。 TIDES試験の成功に不可欠な貢献を下さり、デング熱のない世界に近づくために支援して下さった治験参加者、治験協力者、治験責任医師の皆様とこれまで協業してきたことを誇りに思っています」。
当社は、実臨床におけるエビデンスの創出と継続的なファーマコビジランスを通じて、ワクチンの安全性および影響に対する理解を深めるために、引き続き、製造販売後調査に注力します。これには、ブラジルのドウラドス市において、ドウラドス市の健康局とブラジルの研究者が共同実施するインパクト試験や、東南アジアの小児及び青少年を対象としたQDENGAの製造販売後有効性観察試験であるDEN-401試験が含まれます。
2022年にインドネシアで初めて承認されて以来、QDENGAは41ヵ国で承認され、2025年9月時点で、流行国11ヵ国において1860万回接種分が供給されています。世界保健機関がQDENGAを事前認証リストに加えたことは、QDEDNGAが、世界的なデング熱の脅威に対する公的な予防接種プログラムでの使用に適していることを裏付けています。
これらの結果は、2025年10月29日に、第14回世界小児感染症学会(WSPID)年次総会において発表されました2。当社は更に、非流行国における追加接種試験の結果を2025年11月11日の米国熱帯医学衛生学会(ASTMH)年次総会で発表する予定です。
第3相臨床試験TIDES試験(DEN-301試験)について
二重盲検、無作為化、プラセボ対照のグローバル第3相臨床試験であるTIDES試験は、小児・若年層被験者を対象とし、4種すべてのデングウイルス血清型によって引き起こされる、ウイルス検査レベルで感染が確認されたあらゆる重症度の症候性デング熱の予防において、TAK-003を2回接種した際の安全性および有効性を評価しています3。本試験は、4歳から16歳の健常な小児・若年層被験者2万人以上が組み入れられています3。被験者を2:1の割合で無作為に割り付け、 TAK-003 0.5 mL又はプラセボを0ヵ月時及び3ヵ月時に2回皮下投与しました3。本治験は5つのパートで構成されており、パート1である主要評価項目の解析では、TAK-003の2回目接種後12ヵ月までのワクチン有効性(VE)および安全性を評価しました3。パート2では、さらに追跡調査を6ヵ月間追加し、副次評価項目であるデング熱による入院予防効果、デングウイルスの血清型別VE、被験者のワクチン接種前血清状態別VEおよび症状の重症度別VEについての評価を行いました3。パート3では、WHOのガイダンスに従ってさらに2年半から3年にわたって被験者を追跡調査することにより、ワクチンの有効性と長期的な安全性を評価しました4。パート4では追加接種後13ヵ月間の有効性および安全性を評価し、パート5では、パート4完了後1年間の長期的な有効性および安全性を評価しました3。
本試験はデング熱流行地域であるラテンアメリカ(ブラジル、コロンビア、パナマ、ドミニカ共和国、ニカラグア)およびアジア(フィリピン、タイおよびスリランカ)の8ヵ国にて実施されており、これらの地域ではデング熱予防のアンメットニーズが高く、重症型デング出血熱は小児の重篤な疾患および死亡を引き起こす主たる要因となっています6。ワクチン接種前の血液サンプルを本試験に参加するすべての被験者から採取しており、接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)別の安全性および有効性を評価することが可能です3。第3相臨床試験TIDES試験は、タケダがこれまで行ったなかで、最も大規模な介入臨床試験です。当社および専門家で構成される独立データモニタリング委員会は積極的な安全性のモニタリングを継続して行っています。
QDENGA®(4価弱毒生デング熱ワクチン)について
4価デング熱ワクチンQDENGA®(TAK-003)は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の“バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースとして、デングウイルス血清型に関わらず、予防効果がもたらされるように設計されています6。
デング熱ワクチンについて
デング熱は、最も急速に感染が拡大している蚊媒介感染症で、現在、全大陸の100か国以上で流行しています7。デング熱は主にネッタイシマカ、および比較的低い割合でヒトスジシマカによって媒介され7、4 種のウイルス血清型すべてがデング熱または重症型デング出血熱を引き起こす可能性があります7。個別の血清型羅患率は地理、地域、国や季節によって異なり、また時間の経過とともに変化していきます7。ある血清型のウイルスに感染した場合、その血清型に対する免疫は一生涯続きますが、後に異なる血清型のウイルスに感染した場合、重症化のリスクが高まります8。
武田薬品のワクチンに対する取り組みについて
ワクチンは、毎年350万~500万人の生命を救い、世界の公衆衛生に劇的な変化をもたらしました8。武田薬品は、約70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、新型コロナウイルス感染症、パンデミックインフルエンザなど、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。武田薬品はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。
武田薬品について
武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
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医療情報
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References
- Tricou, V. Efficacy and Safety of Takeda’s Tetravalent Dengue Vaccine Candidate (TAK-003) After 4.5 Years of Follow-Up. Presented at the 8th Northern European Conference of Travel Medicine; June 2022.
- Escudero, I. Evaluation of a Booster Dose of the Tetravalent Dengue Vaccine, TAK-003, in Healthy Children in Dengue-Endemic Regions (DEN-301). Oral presentation at: World Congress of the World Society for Pediatric Infectious Diseases (WSPID 2025), October 29, 2025. Bangkok, TH. OP010.
- ClinicalTrials.Gov. Efficacy, Safety and Immunogenicity of Takeda’s Tetravalent Dengue Vaccine (TDV) in Healthy Children (TIDES). Retrieved November 2025.
- World Health Organization (WHO) Technical Report Series No. 979, 2013 Annex 2. Guidelines on the quality, safety and efficacy of dengue tetravalent vaccines (live, attenuated). https://cdn.who.int/media/docs/default-source/biologicals/vaccine-standardization/dengue/trs-979-annex-2-dengue.pdf?sfvrsn=bd659777_2&download=true.
- Murray, et al. Epidemiology of dengue: past, present and future prospects. Clin Epidemiol. 2013 Aug 20;5:299-309. doi: 10.2147/CLEP.S34440.
- Huang CY-H, et al. Genetic and phenotypic characterization of manufacturing seeds for tetravalent dengue vaccine (DENVax). PLoS Negl Trop Dis. 2013;7:e2243
- World Health Organization. Dengue. Published August 21, 2025.
- World Health Organization. Vaccines and immunization. Retrieved November 2025.