タケダのデジタルの取り組み | 武田薬品
データとデジタルで医療の未来を拓くタケダのDX推進
CDTOからのメッセージ
患者さんのために革新的な医薬品を追求する情熱は、タケダの240年以上の歴史に深く根ざしています。 私たちはタケダを次世代へと導く任務を担うものとして、デジタル技術がもたらす俊敏性や復元力、革新性によってタケダがこの先さらに240年繁栄するために、当社の遺産をより豊かにしていく責任があると考えています。 私たちは、「データとデジタルの力でイノベーションを引き起こす」ことで、デジタル技術を駆使したバイオ医薬品のリーディング・カンパニーを目指します。
チーフ データ&テクノロジー オフィサー
ガブリエレ・リッチ
経営ビジョンを支えるデータ・デジタル&テクノロジー戦略
私たちは企業理念の中で、「Patient(すべての患者さんのために)」「People(ともに働く仲間のために)」「Planet(いのちを育む地域のために)」という私たちの約束を掲げています。この約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続けます。
これらを実現する基盤となるのが、データ・デジタル&テクノロジー(DD&T)です。AIを含む先端テクノロジーを活用し、事業全体でイノベーションを促進しながら、生産性を高めます。そして、データに基づく精度の高い意思決定を実現し、業界をリードします。また、テクノロジー活用の拡大にあたっては、常に倫理観と企業価値観を遵守しています。
DD&T戦略は、既存製品の成長と研究開発パイプラインの前進を支える設計となっており、研究開発から製造、販売、患者さんの支援まで、バリューチェーン全体に広がっています。データとデジタルの力を通じて、タケダは価値を創出し、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献します。
希少疾患と患者さん数の多い疾患に対する医薬品の両方においてアンメット・メディカル・ニーズに対応し、質の高い医薬品を可能な限り早く患者さんの元に届けられるよう、全力を尽くします。 さまざまなステークホルダーと協力することで、持続可能な医療制度の構築に貢献します。
私たちが目指す未来を共有しながら、一人一人が自分の可能性を引き出し、輝き、成長できる、多様で包括的な組織を築きます。
私たち独自の強みを生かし、地球の生態系と人々の健康を守るため、高水準の環境施策を先頭に立って実践していきます。
Data & Digital
企業理念に基づく指標(企業理念メトリクス)では、持続的な成長を通じて世界中の人々の健康と輝かしい未来に貢献するという、タケダの存在意義を定量的に可視化しています。これらの指標は、「すべての患者さんのために」「ともに働く仲間のために」「いのちを育む地球のために」という「私たちの約束」に基づいており、事業の成功は財務指標のみによって測れるものではない、という理解を表しています。
データ・デジタル&テクノロジー領域では、医療従事者向けデジタル体験の強化、AI活用の進展、DX人材のスキル向上といった指標を設けています。指標の進捗は統合報告書で毎年公開しています。
指標
- 医療従事者へのパーソナライズされたデジタル体験の強化(Takeda ID):Takeda IDに登録している医療従事者の数
- 従業員によるAIとオートメーションの活用:2025年3月31日時点で生成人工知能(GenAI)ツールを積極的に使用している従業員の割合
- 先進的なテクノロジーに精通した人材のスキルアップ:2020年度第1四半期以降に先進的なデータとデジタルに関するトレーニングに1回以上参加した従業員の割合
※Takeda ID―当社のデジタルエコシステムで使用する統一された認証システム
重点領域:AI活用による、価値創造とガバナンス強化
私たちは、バリューチェーン全体においてAIを活用し業務の変革と生産性の向上に取り組んでおり、製造工程の最適化や診断サポート、医療関係者への正確な情報提供、革新的な医薬品の研究・開発に生かし、患者さんにより貢献できるよう日々の業務に取り組んでいます。
AI技術の急速な進展に伴い、 世界各国でリスクへの対応とイノベーションを促進するための法制度やガイドラインの整備が進んでいます。私たちは、外部の倫理に関する専門家やタケダのリーダーシップチームメンバーを含む多様な専門家グループによって構成されるタケダ・エシックスアドバイザリーカウンシル(TEAC)を設置し、AIの倫理的な活用のために指針を策定しています。また、日本においても、AIガバナンス協会など外部パートナーと連携し、アジャイルガバナンスの考え方に基づいて、最新の技術を安心・安全に活用するための体制を継続的に整備しています。
AIを活用した業務変革の例として、タケダではエンタープライズリソースプランニング(ERP)基盤を刷新するTAKAMIプログラムを推進しています。TAKAMIは、業務の俊敏性・革新性を高めることを目的とした変革プロジェクトであり、これにより、AI需要予測や在庫最適化を可能にし、全社的な情報共有と迅速な意思決定を実現します。
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DXによるビジネスモデル変革
グローバルに22以上ある製造拠点では、製造DXプログラム「Factory of the Future」を推進。このプログラムは、各拠点が医薬品の特性に応じたロードマップに基づき、デジタル教育、自動化、生産性向上の3側面から変革を進めるものです。
具体的には、設備データを活用した予知保全により突発故障を未然に防ぐ、収量改善を図る「予測型工場」や、デジタルツインを活用した収量改善、マルチエシェロン在庫最適化(MEIO)による供給ネットワーク全体の在庫最適化などを展開しています。
さらに、VR・ARを活用したオペレーター教育により、GMP環境下での効率的なトレーニングを実現しています。 環境面では、製造設備から得られるビッグデータを活用し、オペレーションの最適化を通じて環境負荷の低減にも取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、すべての患者さん、ともに働く仲間、そしていのちを育む地球のために、持続可能で柔軟な製造・供給体制の構築を目指しています。
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私たちは、データとデジタルを活用し、医薬品を必要とする患者さんや医療関係者に最適な情報やサービスを届けるため、セールスとマーケティングの在り方を進化させています。
その一環として「Go-to-Market (GtM)」プロジェクトを推進し、医療関係者のニーズや行動を分析、AIによる最適な提案や従業員の業務効率化を支援する仕組みを構築。マネジメント層と第一線で働く従業員が一体となり、ユーザーの声を反映しながらデジタル変革を進めています。こうした取り組みを通じて、医療関係者への価値提供と従業員のやりがいを両立し、持続的な成長を目指しています。
変革期の製薬業界に挑む ― 医療関係者に寄り添うGo-to-Marketプロジェクトとは ―
DXが支える次世代型の製薬バリューチェーン
私たちは、バリューチェーン全体でデータ・デジタル&テクノロジー(DD&T)を幅広く活用しています。
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デジタル技術を活用し、医薬品の製造から患者さんのもとに届くまでのプロセスを効率化しています。製造拠点のセンサー情報をAIで解析し、設備のメンテナンスを事前に予測。加えて、デジタルツインや自動化技術の導入により、検査工程の効率化や生産性向上を図り、人がより価値を生む業務に集中できる環境づくりを進めています。
さらに、AIモデルを使用することで在庫の最適化や品質試験の効率化も可能になり、必要な薬をより早く、安定的にお届けできる体制を整えています。
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販売活動では、予測分析アルゴリズムを活用し、医療関係者一人ひとりに合わせたデータ主導のアプローチを実践しています。これにより、活動の効率性と有効性を最大限に高めることを目指しています。
患者さんの支援として、患者さんのケアに役立つアプリや、患者さんや医療関係者との円滑な交流を促進するアプリを、AIと予測分析を活用して開発しています。炎症性腸疾患(IBD)などを抱える人々を対象としたアプリを患者さんの声をもとに開発し、患者さんが自身の疾患を管理したり、医療関係者と共有しやすくする仕組みを実現しています。
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DXを推進する組織づくり
DX人材育成を加速させる原動力が「デジタル・デクステリティ」です。これは、デジタル技術を積極的に受け入れ、活用し、個人や組織の成果を最大化するための「能力」と「意欲」の両方を指します。タケダではこれをDX人材育成の中核に位置づけ、2つのアプローチで取り組んでいます。
ひとつは「スキルの強化と再構築」。アップスキリング、リスキリングや専門人材の育成、AI活用の推進を通じて実務に直結する能力を磨きます。もうひとつは「マインドセット」。変化に挑戦し続ける個々の意識付けと組織文化の醸成を図ります。この両輪により、従業員全員を「デジタル時代のリーダー」へと導くことを目指しています。
あわせて、社内で開発された生成AIプラットフォーム「myAibou」などの活用も加速しており、日常業務の質や生産性向上を支える相棒として従業員に浸透しています。タケダは、データ・デジタル・テクノロジー・AIをさらに活用し、従業員一人ひとりの成長を支えるとともに、持続的な成長と将来の価値創出を後押ししています。
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顧客中心の価値提供を迅速に実現するため、アジャイル・マインドセットを活用した組織変革を推進しています。
組織や階層の壁を越えて柔軟に協働する文化を築くため、経営層のビジョンと第一線の従業員の知恵を、対話を通じて結びつけ変革を進めています。
さらに、スピードと品質を両立した価値創造を実現するために、アイデアの創出から実行までを一気通貫で進めることができる体制を整えています。
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DX推進体制
デジタル変革を加速するために、2022年には組織全体でDD&T戦略を統合し、全社の体制を刷新しました。 従来のIT部門を集約した構造から、企業全体のバリューチェーンにわたって変革を指揮するグローバル・データ・デジタル&テクノロジー(GDD&T)部門と、各事業部門内でDXを推進するデータ・デジタル&テクノロジー(DD&T)部門を配置し、現場主導で変革を進められる仕組みに再編しました。 これにより、AIをはじめとするデジタル技術の恩恵を迅速に享受し、患者さんに革新的な治療を届けることが可能になります。
さらに、拡大し続けるデジタル分野のニーズを的確に把握し、ガバナンス体制を強化する目的で、デジタル・ポートフォリオ・コミッティを運営しています。タケダ・エグゼクティブチームも参画し、デジタル投資に関する迅速な意思決定を行なうとともに、これらの投資が患者さん・従業員・事業成長につながっていることを確認しています。また、エンタープライズアーキテクチャを中心に、タケダの目指す将来像に向けたロードマップの推進、将来に向けた強固なデジタル基盤の構築を通じて、グローバルで統合し、データ中心でクラウドを活用し、アジャイルかつイノベーション主導の企業への変革を推進しています。
タケダの取締役は、DD&T戦略を推進する上で、助言・監督に必要なデジタルスキルはもちろん、その他スキルもバランスよく保有しており、取締役会の議論をより戦略的なものにしています。詳しくは当社スキルマトリックスをご覧ください。
持続的成長を支えるイノベーションの源泉 イノベーション・ケイパビリティ・センター(ICC)の設立
デジタル変革を未来へと導く戦略拠点としてICC(Innovation Capability Center/イノベーション・ケイパビリティ・センター)をグローバルに展開しています。ICCは最先端の技術を活用し、研究開発から患者さんの支援まで事業の中核に直結するイノベーションを生み出します。
日本では、東京本社に「タケダ・ジャパン・イノベーション・センター(TJIC)」を設置し、国外のタケダICCネットワークと連携しています。
タケダは、人材育成とデジタル能力の内製化を加速することで、製薬業界における競争力と持続的な成長を支えています。 ICCは単なるIT開発拠点ではなく、タケダを「最も信頼される研究開発型のデジタルバイオ医薬品企業」へ導く原動力となっています。
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サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティとビジネスの関連性は強まっており、サイバーセキュリティはテクノロジー主導のプログラムの実現およびビジネスの推進において、不可欠な要素となっています。タケダは、サイバーセキュリティプログラムの継続的な進化と成熟が必要であることを認識しており、先進技術の活用、可視性の向上、継続的改善の促進、業界のベストプラクティスとの整合性の確保、業界リーダーとの戦略的パートナーシップの構築を通じて、タケダのサイバーセキュリティエコシステムを変革するために必要なリソースを確保しています。
タケダのグローバル・データ・デジタル&テクノロジー部門(Global DD&T)のサイバーセキュリティ&リスクチーム(TCR)は、統制の事前評価、第三者セキュリティ評価、侵入テスト、脅威モデリング、情報システムの脆弱性スキャニングといった様々な情報に基づき、サイバーセキュリティリスクを識別し管理しています。第三者セキュリティ評価は、ベンダー選定時、ベンダーとの業務関係に重要な変更が行われた時、リスクの再評価が必要な時に実施されます。また、TCRのリスク専門家はタケダに及ぼす影響度と発生可能性を踏まえて認識されたリスクを管理し、関連するビジネスユニットとも協働して適切な対策を策定・実施しています。
タケダでは、危機管理として事業継続計画(BCP)、テクノロジーレジリエンス、災害復旧計画を業界標準、ベストプラクティス、演習や過去の事例から得られた教訓に基づいて整備しており、その有効性と準備状況を定期的に検証および更新しています。
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